オーストラリア大陸の北、ケープヨーク半島とアーネムランドにはさまれてカーペンタリア湾が広がる。この大湾に沿った地方を「ガルフ地方(The Gulf Country)」と呼ぶ。

 ノーザンテリトリーとクイーンズランド州にまたがるこの地方は面積55万平方キロ(日本の1.5倍)の面積があるが人口はわずか6万人しか住んでいない。

 熱帯に位置するので気候は雨期と乾期の2シーズン。12月から3月の雨期は湿度が高く400ミリから800ミリの雨が降る。雨期といっても日本の梅雨とは違い毎日ジトジトと降るわけではない。雷雲が近づいてきては集中豪雨的にドカンと降る形だ。この時期にはサイクロンの来襲もある。数時間の雨で道路は通行不能になり、再び道が乾いて車が通れるようになるまで1週間もかかるなどということはざらだ。

 5月になると湿度が下がり青空が戻ってくる。6月から8月にかけては乾期でからっとした天気で、空に雲が浮くこともなく毎日青空が広がる。最高気温も25-30度ととてもすごしやすい。9月にはいると最高気温が30度を超え始め、11月になると湿度が70-80%になり雨期の近いことを知らせる。

 今回のツアーの目玉である「ロスト・シティ」はこのガルフ地方の特徴的な地形である。今から10〜20億年前、ガルフ地方は太古の海に覆われていた。この海は干上がって陸地になったり、海になったりを繰り返してきた。この時期に太古の海の底に堆積した土砂がやがて砂岩となった。現在姿を見せているロスト・シティの砂岩は14億年前の岩石だといわれている。やがて砂岩の地層は陸地となり侵食が始まった。シリカが豊富なこの砂岩は雨や風に浸食されドーム状の岩塔と形を変えた。その表面は酸化鉄の皮膜が覆い、赤茶けた縞模様を形作っている。風化され尽くした場所ではドーム状の岩塔が草原から無数に突き出ていて、ドーム岩の間は自然の迷路となっている。まるでかつては人間が生活していた都市が廃墟になったような印象を与えることから「ロスト・シティ(失われた都市)」という名前が付けられたのであろう。

 ロスト・シティと呼ばれる地形は、ガルフ地方を横切るように点在し、その「都市」の規模は高さが25メートルから50メートルを超すような高いものまで、また広さも1時間ほどでぐるりと巡ってこれるものや1日かけても回れきれない広大なものなどさまざまだ。

 ガルフ地方の主要な町は大都市から舗装道路がつながっているが、ロスト・シティを訪れるには四輪駆動車が絶対に必要となる。最近でこそ大都市からキャンプ道具を満載にした四駆を駆って観光客が訪れるようになったが、メルボルンやシドニーなどからはまっすぐ走ってきても4日もかかる。観光産業はガルフ地方でこれから期待される大きな産業のひとつだが、ロスト・シティはオーストラリア「最後の秘境」と呼んでも決して過言ではない、今だ手付かずの大自然の中にある。
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